社会福祉法人森友会では、職員をモデルに毎年、広報用ポスターを作成しています。岐阜県在住の脇淵竜舟先生に写真撮影、キャッチコピーの制作をお願いしてポスターに仕上げています。インパクトのある構図とパンチの効いたコピーで魅力ある作品になっています。ポスターの解説をお読みいただくと当法人の保育をご理解いただくうえでの縁になると思います。ぜひ、ご覧ください。

みんな昔はこどもだったバージョン

キャスト:森友会スタッフ
メインキャッチコピー:みんな昔は子どもだった。(そして、二度と戻らない。)
おさえキャッチコピー:現在(いま)を生きよう。森友会。

コンセプト:大人が子どもの格好をして真顔で佇んでいるという違和感とおかしさ、しかし、そのおかしさの本質は、「大人はなにをやっても絶対に子ども時代には戻れない」ということ。おかしさの中に少なからずさみしさ、悲しさが感じられる。保育園の子どもたちの「子ども時代」は現在(いま)しかない。そこに関わる大人たちは、子どもたちの現在が最大限輝くように尽くすことがなによりも大切である。子どもたちとともに、二度と来ない現在を生きるという意識。
また、キャストに男性を採用することで森友会が積極的に男性保育士を受け入れていることを、また、管理職であってもこのような撮影に積極的に参加するという現場の空気を伝える意図もある。

ともに育つバージョン

キャスト:園児
キャッチコピー:ともに育つ。

コンセプト:印象的な大きな目とはっきりとした顔立ち。単に遊んでいるところをそのまま撮るのではなく、直立で顔を口元がほほ笑む程度、視線もまっすぐにカメラを見つめてもらった。抑制気味の子どもの姿を見せることで、あえて見るものに余白を与えることを意識している(能面効果)。子どものまっすぐなまなざしに見つめられて、なにかしら感じない大人はいないと願うし、感じられる人こそ保育士になってほしいという個人的な思いも。キャッチコピーは、保育士とはこういう子どもたちの視線を受けながら自らも成長していく現場であることを伝える目的で採用。フォントは「AXIS ウルトラライト」。モデルとなった園児の知的な雰囲気に合わせた。

ようこそバージョン

キャスト:園児
キャッチコピー:ようこそ。

コンセプト:一斉保育ではなく、「環境によって子どもが主体的に育つ」ことを志向する森友会(という印象)なので、まずは子どもたちをありのままに受け入れることを大切にしているはず。ちょっと落ち着いたりませたりしている子も多い女の子と違って、男の子といえば「棒があれば振り回す」「布があれば体に巻く」「う○ちやお○っこが大好き」「すぐにテンションが上がってバカ騒ぎ」といったステレオタイプな特徴を共有していることが多い。このポスターでは、そんな中で「カメラを向けたらとりあえずポーズを取る」というよく見かけるシーンを採用して、森友会の子どもたちをありのままに受け入れる姿勢を表現したいと考えた。キャッチコピーのフォントは「ともに育つバージョン」と同じく「AXIS」。「ともに育つバージョン」とは逆に、好きに振る舞うテンションあがりっぱなしの男子とのコントラストを効かせるためにあえて知的なフォントを採用した(一般的にフォントは細いほど知的な印象が強くなる)。

保育士3年30年バージョン

キャスト:森友会スタッフ
メインキャッチコピー:保育士一筋三十年。いまだにわからないことばかりです。保育士になって三年目。ちょっとわかってきた気がします。
おさえキャッチコピー:どちらも本当のこと。どちらも大切なこと。

コンセプト:なにより伝えたいのは、森友会には若手にもベテランにも確固たる居場所があり、それぞれが尊重されているということ。保育士3年目といえば毎日が目まぐるしく移り変わりついていくのがやっとだった新人時代をようやく消化できてくる頃。その逆に、30年経ってもなお明確な答えが見つかるわけではなく試行錯誤を繰り返すしかないという保育の奥深さ。そんなものを伝えたいがためのキャッチコピー。
写真は、それぞれのモデルとなってもらった先生の全身を少し引き気味に撮影することで客観性を出している。ただ並んで笑顔で立っているのみというシンプルさによって、「ともに育つバージョン」と同じようなコミュニケーションの余白を作ってみた。
キャッチコピーは長めになるので語呂やまとまりに注意した。おさえも置くことで、冗長性を回避(できているかは見る人の印象次第であるが)。なお、若手の先生は実際は3年目ではないが、それはイメージということで了解願いたい。

子どもは遊ぶのが仕事バージョン

キャスト:園児
キャッチコピー:子どもは遊ぶのが仕事?子どもよりマジメに「仕事」してる大人がどれだけいるのかな。

コンセプト:机を囲んでそれぞれが好きな遊びに夢中になっているシーン。そんな中、こちらを振り向いてカメラを見据えた瞬間(に見える)を撮影した。写真のコーナーの光量を落とすことで印象深い画にし、周囲が暗くなることで視線が中心に集中する特性でより彼女の目とキャッチコピーに意識が向くようにした。キャッチコピーについては、背景が白く視認性が高いこともあるが、押しつけがましく感じられてもおかしくない挑発的な内容なので出来るだけシンプルに、フォントのサイズも小さめにして、キャッチコピーそのもののインパクトを控えめにした。子どもにとっての「遊び」という言葉や行為が世間で誤解されがちな現状。そこで、「子どもは遊ぶのが仕事」という昔から言われるセンテンスを逆手に取り、大人にとっての「仕事」と対比させることで、方便として子どもにとっての「遊び」の大切さを感じてもらえるといい。
※「方便」は、「嘘も方便」ということわざの印象からか、世間的には「方便」が嘘そのものという受け止めも多いと思われるが、本来は「蒙昧な私たちを真実へと近づけてくれる、本質へと導いてくれるもの」という意味。